巨額投資回収のために次期戦闘機を輸出可能に

 防衛装備移転3原則は昨年12月に続き、今年3月にも改定されました。この改定は、殺傷能力のある完成品を第三国に輸出することを可能にするものです。具体的には「グローバル戦闘プログラム」を明示しました。2035年の運用開始を目指して英国・イタリアと共同で開発中の次期戦闘機の輸出に道を開くものです。

英国・イタリアと共同開発する次期戦闘機のイメージ(写真:防衛省のHP

 次期戦闘機をめぐっては、共同開発国の事前同意があれば、英国とイタリアは第三国への売却が可能ですが、3原則で枠をはめられた日本は第三国への売却ができないかたちでした。そうなると、開発などに費やす巨額の投資の回収が難しく、結果として日本での完成品は高コストのままとなります。

 そのため、東南アジア諸国などを念頭に第三国への輸出を認めてほしいとの声が産業界や自民党内で高まっていました。また、完成品の輸出を通じて、同盟国や友好国との関係を強化する狙いもあります。

 しかし、一連の3原則改定に対しては、野党から厳しい批判も寄せられました。最大のポイントは輸出先の決定などに関して国会が関与する仕組みがない、というものです。政府は「輸出を認める場合は個別に閣議決定する」としていますが、閣議決定のプロセスに関与できるのは事実上、政府・与党だけです。

 そのため、野党側は「戦闘機の第三国への輸出という戦後政策の大転換なのに、閣議決定だけで決める国民的な議論がないままだ」と強く批判。武器輸出大国の米国は事前に議会に報告し、承認を得る流れになっていると指摘し、日本政府の密室ぶりを改めるよう求めました。