トヨタ・非トヨタの2大グループに集約か

 筆者の独断と偏見ではあるが、軽自動車で「ダイハツ・スズキ連合」、「日産・三菱・ホンダ連合」が誕生すれば、国内乗用車メーカーのトヨタグループと非トヨタグループの2極化が進むだろう。

 前述したように、スズキはすでにトヨタの資本を受け入れており、同様にマツダやスバルも、だ。一方で日産は三菱に34%出資する筆頭株主で、ホンダは他の自動車メーカーの資本を受け入れていない。日産、三菱、ホンダが軽自動車で組めば、軽以外でも提携する大きな話に展開するかもしれない。

 乗用車メーカーを支える部品産業の視点でも、トヨタグループ、非トヨタグループに集約していくことは、規模を拡大できるチャンスを迎える。たとえば、EV時代のキーデバイスの一つである蓄電池事業だ。

 国内では、トヨタ・パナソニック連合の存在感が高い一方で、ホンダはGSユアサとEV向け電池で合弁の「ホンダ・GSユアサEVバッテリー」を設立した。この合弁会社に対しては、経済安全保障の観点から、蓄電池を半導体などと同一の重要戦略物資と位置付ける国が約1500億円の補助金を投じている。

 かつての国内の半導体産業は各企業が競い合い過ぎたことが一因となり、共倒れした。重要戦略物資と位置付けられた以上、蓄電池は、半導体同様に国内過当競争で共倒れしないことが求められている。

 GSユアサは三菱と電池の合弁会社「リチウムエナジージャパン」を設けている。過当競争を避け、規模の利益を追求するためには、GSユアサが絡むホンダとの電池合弁と、三菱との電池合弁の2社を統合させる動きが出てくるだろう。

 この動きが実現すれば、EV向け車載電池でトヨタグループ、非トヨタグループという2極ができる。