テレビは「映像で伝える」メディアのはずだが

 しかし、今や、その時々のトピックを説明するために使われる「パネル」や「モニター」は文字だらけです。そのうえ、映像で伝えるというよりは、MCと呼ばれる進行役とコメンテーターのやりとりの繰り返しです。「テレビは映像で伝えるものだ」と叩き込まれてきた私にとって、これは「テレビ的ではない!」と、ぼやきたくなります。

 いろいろな人の「おしゃべり」によって異なる意見や新しい視点を取り入れ、視聴者に多角的な情報提供がなされることは大事です。しかし、多くのコメンテーターの感想や意見は当たり障りがなく、穏当なところに着地させようとします。辛辣な言い方になりますが、表層的で、つまらない「おしゃべり」ばかりでテレビの時間が埋め尽くされているのではないでしょうか。

 ある女性の生活を歌った「一週間」というロシア民謡があります。

日曜日に市場へ出かけ 糸と麻を買ってきた
テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ
テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ
・・・中略・・・
金曜日は糸巻きもせず
土曜日はおしゃべりばかり
テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ
テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ

 この歌では土曜日は、おしゃべりばかりですが、テレビ局は日曜日も、月曜日も、どの曜日も、おしゃべりばかりです。早朝から深夜まで、おしゃべりがあふれているわけですが、それはスタジオの場面が多いことにほかなりません。