今年6月、台北で開催されたCOMPUTEX2023においてで、生成AIに使用されるグレースホッパースーパーチップ CPU持ち講演するNVIDIAのジェンスン・ファンCEO今年6月、台北で開催されたCOMPUTEX2023において、最新のAIチップ「グレースホッパースーパーチップ 」を手に講演するNVIDIAのジェンスン・ファンCEO(写真:ZUMA Press/アフロ)

 米政府による対中輸出規制を受け、騰訊控股(テンセント)などの半導体設計を手がける中国企業は、自社のAI(人工知能)半導体を米エヌビディア(NVIDIA)製品の代替とすべく、売り込みに余念がない。同時に、中国顧客のエヌビディア離れが進むことを期待していると、英ロイター通信が報じている

小企業にも広がる独自半導体設計

 中国のAI向け半導体では、華為技術(ファーウェイ)が開発した「昇騰(Ascend)910B」が最も先進的だといわれている。先ごろはファーウェイが、中国IT(情報技術)大手の百度(バイドゥ)から大量受注したと報じられた。

 だが、こうした半導体開発の動きは小規模企業にも広がっている。例えば、中国政府が支援する海光信息技術(Hygon Information Technology)や、スタートアップの天数智芯(Iluvatar CoreX)などの企業も、エヌビディアから顧客を奪おうと攻勢をかけている。

 テンセントは、深層学習(ディープラーニング)のスタートアップ、燧原科技(Enflame)とAI推論半導体「紫霄(Zixiao)」を共同開発した。テンセントはSNS(交流サイト)や対話アプリ、モバイルゲームなど様々な消費者向けネットサービスを手がけている。その一方で、企業向けクラウドサービス「Tencent Cloud」も展開しており、そこでこの半導体を活用している。テンセントは同サービスにおいて、一部エヌビディア製半導体に匹敵するパフォーマンスを達成したと主張している。