ウクライナを訪問した英国のキャメロン外相とゼレンスキー大統領=11月16日(提供:Ukrainian Presidential Press Service/ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

英外相になった元首相「何より軍事的支援を続ける」と約束

[ロンドン発]英国政府のサプライズ人事で外相になったばかりのデービッド・キャロン元首相が16日、キーウを訪れ、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談した。

 米欧のウクライナ疲れが濃くなる中、キャメロン氏は「今年、来年に限らず、どれだけ長くなろうともウクライナが必要とする道徳的、外交的、経済的、そして何より軍事的支援を続ける」と約束した。

「外相として初の外遊先はウクライナと決めていた。ウクライナ国民の強さと決意を称える」と切り出したキャメロン氏は「ボリス・ジョンソン元英首相とは40年来の付き合いだ。(英欧関係など)いくつかの相違はあったが、ウクライナ支援は彼が行った中で最も優れた業績だ」とゼレンスキー氏と相性が良かったジョンソン氏の名を出し、距離を縮めた。

 英国から供与された空中発射巡航ミサイル「ストームシャドウ」(射程250キロメートル)はロシア軍の前線支援能力や補給ルートの道路・鉄道橋、クリミアにある黒海艦隊司令部、艦艇に大きな打撃を与えている。ゼレンスキー氏は「ウクライナへの英国の揺るぎない支援に感謝している。ウクライナに来てくれたことを嬉しく思う」と礼を述べた。

 この冬、ロシア軍が再びエネルギーインフラを狙ってドローン(無人航空機)攻撃をエスカレートさせてくる恐れが強いため、ゼレンスキー氏は防空システムを強化する必要性を強調した。両首脳はウクライナ経済を支えると同時に中東・アフリカの食糧不安を解消する黒海の安全な海上人道回廊(黒海穀物イニシアティブ)の代替案についても話し合った。