8月6日、今年も「夏の甲子園」が開幕した(写真:共同通信社)

 球児たちの熱戦に釘付けとなっている人たちは多いはずだ。第105回全国高校野球選手権記念大会は甲子園球場で8月6日に開幕し、全国47都道府県から49チームの代表校が参加。頂点を目指し、しのぎを削り合っている。

 大いに盛り上がっている一方、これに水を差すかのように近年は毎夏必ず話題として取り上げられているのが「夏の甲子園開催」に異を唱える声だ。これまでも酷暑の炎天下で行われていた夏の甲子園の“強行開催”を太平洋戦争のインパール作戦に例えて公然と批判し、論争を巻き起こした著名人がいたのは記憶に新しいところだろう。

 今夏も全国的に記録的な酷暑が頻発していることで「甲子園でなくドーム球場で開催すべき」などといった有識者発の意見や主張はメディアを含む各方面から少なからず聞こえてきている。

酷暑対策の「クーリングタイム」

 ただ、日本高等学校野球連盟(高野連)や大会本部側はこうした酷暑問題を黙って見過ごしているわけではない。今大会からは暑さ対策として各試合の5回終了後に10分間の「クーリングタイム」を新たに設定した。

 両軍の選手たちは大型の送風機がフル稼働するベンチ裏へ移動し、空調の効いたスペースで理学療法士からサーモグラフィーを使いながら熱中症の疑いがあるかないかのチェックを受けるように定められている。そのスペースには熱中症対策としてスポーツドリンク、冷凍庫、アイスベスト、ネッククーラー、さらにユニホームでも入浴可能なアイスバスまでもが完備されており、選手たちは火照った体を冷やしたり、十分な水分補給をしたりすることも可能だ。

 こうした万全の態勢が整えられているのは画期的な対策と評していい。