世界では最高気温が「50℃」を超える地点も続出

 それでは、今年の夏、これまで実際に世界各国で起きていることを、ニュース報道等をもとに見ていこう。

 まず、欧州ではイタリアやギリシャなどで猛暑が続いている。イタリア保健省では、7月16日に最も高いレベル3の危険度で、高温に関する警報をローマやフィレンツェなどの16都市に発令した。特に、地中海のサルデーニャ島では、17日に45.7℃まで気温が上昇。シチリア島で2021年に記録された欧州最高気温48.8℃を更新する可能性があると報じられている。

 ギリシャでは、観光地として有名なアテネのアクロポリスが暑さのために一時、閉鎖となった。ギリシャ気象庁は40℃超の日が続くと予測している。

ギリシャで熱波(写真:AP/アフロ)

 また、大西洋のスペイン領カナリア諸島にあるラ・パルマ島では、猛烈な熱波のせいで大規模な森林火災が発生した。7月15日の発生以降、消防士が火災との戦いに忙殺されているが、これまでに5000ヘクタールが焼失し、住民4000人が避難を余儀なくされたという。

 続いて、アジアでは中国の華北地方で6月下旬から猛暑となり、各地で40℃以上の気温を記録している。北京では、6月22日に最高気温が41.1℃に達し、6月の過去最高を更新した。また、7月18日までに、最高気温が35℃以上となる猛暑日の日数が27日を数え、これまでの最多記録を更新した。

中国・北京でも猛暑(写真:AP/アフロ)

 比較的乾燥した中国北西部の都市トルファンの郊外では、7月16日に最高気温が52.2℃に達した。この記録が正式に認定されると、中国の最高気温(50.5℃)が6年ぶりに更新されることとなる。長期にわたる高温は、電力網や作物に打撃を与え、昨年60年ぶりに発生した深刻な干ばつが今年も起こるのではと懸念されている。

 次に、アメリカでは国立気象局が南部と西部の各州で熱波がピークに達しており、8000万人以上の住民が過剰な暑さ警報などの影響を受けると警告している。カリフォルニア州では多数の山火事が発生しており、住民に対する避難命令が出されている。

カリフォルニア州で発生した山火事(写真:AP/アフロ)

 現在の世界最高気温は、1913年7月10日にカリフォルニア州デスバレーで記録されたとされる56.7℃だ。今年7月15日には、同地の気温が54℃に達したと報じられている。今年はこの記録が110年ぶりに更新される可能性すらあるとみられている。