(英フィナンシャル・タイムズ紙 2023年5月20・21日付)

グローバルサウスという名の下に先進国に不満をもつ国が集まり始めている

 ウクライナでの戦争の歴史が書かれる時、南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領が先日発表したアフリカ諸国による和平調停団が脚注にも入らないと考えてまず間違いないように思える。

 最近では調停を名乗り出る国が多々あり、南アはいずれにせよ、ウクライナとの仲介役として信用されるにはロシアと親しすぎると見られている。

米国一極時代が終わった後に存在感

 だが、ポスト一極世界の台頭の歴史が書かれる時には、難題に挑もうとしたアフリカの首脳たちは言及に値するだろう。

 アフリカ6カ国の国家元首が欧州の戦争の前線を行き来するという考えは、西側諸国がアフリカで重ねた介入との見事な対比になるだけでなく、「グローバルサウス」の国々が強める自己主張、そして自分たちの時代が本当にようやく訪れたという意識を浮き彫りにするからだ。

 この現象は2008年の金融危機を受けて古い世界秩序がほころび始めて以来、多くの場所ではっきり見て取れた。

 だが、ウクライナでの戦争が流れを一気に加速させた。

 西側以外の多くの国がウクライナに対する西側の全面支援をながめ、偽善的な大国がまたしても医療や気候変動といった大きな世界的問題を差し置いて自国の利益と懸念ばかりを優先していると受け止めた。

 これらの国は2つの大きな機会も感じ取っている。

 一つは米国と中国を互いに競わせること、もう一つはとうの昔に行われるべきだった1945年以降の世界秩序の書き換えだ。