「あなたは資本主義に怒っているか」と問いかけるサンダース氏(筆者撮影)

「歴史上、最も豊かな国の医療制度は破綻している」

[ロンドン]資本主義に怒っていいんだ――。「民主的社会主義者」を自認し、2016年と20年の米大統領選民主党指名候補争いに敗れたものの熱狂的な若者の支持を集めたバーニー・サンダース上院議員(81)が新著『It’s OK to Be Angry About Capitalism』の出版に合わせて英国を訪れ、2月24日、ロンドンの外国人特派員協会(FPA)で取材に応じた。

「この本は米国で普通の人々の生活に何が起きているのかという根本的な疑問を投げかけている。私たちはどのようにして現在に至り、社会として世界として、どこへ行きたいのか。テクノロジーが爆発的に発展している今、ロボットや人工知能(AI)が米国や世界中の国々で人々の働き方に変革をもたらすことに誰もが気付いている」

 米上院保健・教育・労働・年金委員会の委員長を務めるサンダース氏はまず米国の医療制度に矛先を向けた。「歴史上、最も豊かな国の医療制度は完全に崩壊している。私たちは経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均より最大で2倍の医療費を費やしている。それだけお金をかけているにもかかわらず、8500万人の米国人が無保険または事実上保険が使えない」

 必要な時に医師に診てもらえなかったために6万人以上が死亡した年があるとサンダース氏は憤る。「その医療制度を支配するのは年に何千万ドルも稼ぐ保険会社だ。英国やあらゆる国で米国型医療制度に移行しているが、それは止めた方がいい。医療は人間の権利であり、できるだけ多くのお金を稼ぐことだけを目的にする保険会社に支配されてはならない」