リフォームの訪問販売トラブルが増えている(写真はイメージ)

(山下 和之:住宅ジャーナリスト)

 ひところ急増して大きな社会問題になったリフォームの訪問販売トラブル。最近は鳴りを潜めているような気がしていたが、実はそうでもないらしい。トラブル増加の兆しを受けて、公益財団法人「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」がホームページ上で悪質リフォームの相談事例を掲載、消費者に警鐘を鳴らしているのだ。

コロナ禍でも増えたリフォームの訪問販売トラブル

 2020年から続くコロナ禍によって、一般家庭への訪問が難しくなり、結果的にリフォームの訪問販売によるトラブルも減っているのではないかと思われたが、そんなことはない。相変わらず着実に増え続けている。

 国民生活センターでは、同センターや各地の消費生活センターなどが受け付けた相談件数の統計を取っているが、それによるとリフォームの訪問販売によるトラブルは、2019年度には8007件だったのが、2020年度には8784件に、2021年度には9734件に増えている。2年間で2割以上増加しているのだ。

 国民生活センターでは、リフォームの訪問販売とともに「点検商法」といわれる手口に関する相談についても統計を取っている。点検商法とは、たとえば、「近くで工事をしている」という作業員が訪ねてきて、「せっかくなので床下を点検しましょう」と言って床下を覗き込み、「シロアリが発生している」などと脅してリフォーム工事を受注する。

 その点検商法に関する相談は、2019年度には5760件だったのが、2021年度には7421件に、こちらは2年間で3割近くも増加している。2022年度についても、2022年6月末までの集計で、訪問販売が1753件、点検商法が1411件とやはり相談が絶えない。

 国土交通省ではこうした事態に対して危機感を抱き、2022年10月に、「悪質なリフォーム事業者にご注意ください!!」と題したリーフレットを作成した。

 国交省としては、2022年6月に脱炭素社会の実現に向けて建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律が改正されたのを受け、省エネ改修の機運が高まっているのに乗じた悪質リフォームが増加することを懸念している。

 そのためリーフレットを作成し、全国宅地建物取引業協会連合会などの業界団体に、消費者からの相談窓口を設置するなどの注意喚起を行うよう依頼し、都道府県・政令指定都市の住宅生産行政担当部署にも周知徹底をはかっている。


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