(写真:アフロ)

(筆坂 秀世:元参議院議員、政治評論家)

 このところ立て続けに日本共産党に関する本が出版されている。日本共産党は、昨年(2022年)党創立100周年を迎えた。それに合わせて2022年5月に、中北浩爾一橋大学大学院教授の『日本共産党 「革命」を夢見た100年』(中公新書)が出版された。私も読んだが、いわゆる反共本ではなく、共産党100年の歴史を詳細に鋭く分析したものだ。共産党員が読んでも違和感はなく問題のない内容だと思った。

 ただ今年出版された3冊は、少し趣(おもむき)が違うようだ。

 1冊目が『シン・日本共産党宣言 ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』(文春新書)というタイトルの本だ。現役の共産党員で私もよく知っている松竹伸幸氏が著者だ。同氏はもともと日本共産党本部の政策委員会で私と机を並べていた。だが志位和夫委員長と自衛隊活用論などで意見が対立し、党本部を退職し、京都のかもがわ出版という出版社に再就職している。著書の中にもあるように、今なおバリバリの共産党員である。

 2冊目が、鈴木元著の『志位委員長への手紙 日本共産党の再生を願って』(かもがわ出版)だ。かもがわ出版のホームページには、この本の内容として「 党歴60年の古参党員からの直言 志位委員長は直ちに辞任して、党首公選を行って選ばれる新しい指導部に共産党の改革を委ねるべきだ。党歴60年の古参党員が訴える」とある。私は鈴木氏を存じ上げないが、同社のホームページには、1944年生まれで「立命館大学一部(昼間部)経済学部卒業。日本共産党の立命館大学一部学生党委員長を経て同京都北地区委員会・府委員会常任委員(専従員)、立命館総長理事長室室長、初芝学園副理事長などを歴任。現在、京都府内で最大規模の共産党単位後援会の会長を務める」とある。まさに古参党員である。