難解な専門用語を子供に分かるように伝えるにはどうすればいいのか(提供:アフロ)

 技術的な話や専門的な話を”素人”に伝えるのは難易度の高い作業だ。数字に疎く、論理性や客観性に乏しい文系人間にイラついた経験を持つエンジニアも多いのではないか。だが、相手に伝わらないのは伝える方にも問題がある。大手電機メーカーで技術系の専門用語に苦しみ、子どもなど社外の素人に自社の技術やサービスを伝えてきた著者が、専門的な内容を素人に伝えるコツをお伝えする。

(深谷 百合子:フリーライター)

「こちらの工場では、環境対策のためにコージェネレーションシステムを導入しました。コージェネレーションシステムとは、発電と同時に熱も利用する設備です。この工場では、発電時に発生した排熱を給湯や空調に利用することで、システムを導入しなかった場合と比べて年間の二酸化炭素排出量を○○トン削減しています」

 この説明を聞いて、皆さんはどう感じただろうか。

 何となく分かったようなそうでないような感じかもしれない。「何だかよく分からないけれど、環境によさそうなのかな」という印象だろうか。

 新しい工場のロビーには、製造工程を説明するコーナーや工場の環境対策を紹介するパネルが展示されていた。私は見学や取材で工場を訪れたお客様に、環境対策の概略を説明する仕事を任されていた。

「システムの能力はどのようにして決めたのですか?」などと質問してくる人は、同じような職種の人か、エネルギー関係の専門家くらいである。一般の見学者は皆、「へぇ」という感じの表情をしているだけだ。

 会社としては「このシステムを導入することで、二酸化炭素排出量を削減した」ということが伝わればよいので、コージェネレーションシステムの詳細をわざわざ説明する必要はなかった。

 ところが、環境学習で子どもが見学にやってくることになった。目的は「学習」であるから、子どもたちに学びを提供しなければならない。ただ言葉を噛み砕くだけでは物足りない。子どもたちに考えてもらうきっかけや、新しい発見をしてもらうためにはどう伝えたらよいか。

 試行錯誤して得た「伝え方の工夫」を、エピソードを交えて紹介する。

  コージェネレーションシステムとは、都市ガスなどの燃料を使って、発電と同時に排熱を利用する設備である。業務用だけでなく、家庭用のシステムもある。ガス会社の宣伝で、「電気とお湯を同時につくる」「停電時も電気やお湯を使えるから安心」と謳っているのを見聞きされた方もいるかもしれない。

 発電時に発生する熱を捨てずに回収利用するので、エネルギーを無駄なく使えるという利点がある。そのため、地球温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量を抑える効果が期待できる。

 このコージェネレーションシステムを子どもにも分かるように伝えるにはどうしたらよいか。