OPEC(石油輸出国機構)の旗(資料写真、写真:ロイター/アフロ)

(藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー)

 米WTI原油先物価格はこのところ1バレル=80ドル台後半で推移している。

 供給サイドの懸念が残っているものの、「世界第2位の原油需要国である中国の景気が減速する」との観測が上値を抑える展開となっている。中国の9月の原油輸入量は前年比2%減の日量979万バレルだった。1月から9月までの原油輸入量も前年比4.3%減の日量990万バレルだ。

OPECプラスが減産開始、米国は猛反発

 OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどの大産油国で構成するOPECプラスは、11月から日量200万バレルの減産を開始した。実際の削減幅は日量100万バレル程度と考えられているが、この決定により、1バレル=70ドル台に下落していた原油価格は一時、90ドルを超えた。

 OPECのアルガイス事務局長は10月31日、「第4四半期から世界の原油市場は供給過剰になることが見込まれることが主な要因だ」と減産の理由を説明している。

 だが、大幅な減産を行わないよう働きかけていた米国はOPECプラスの決定に猛反発した。「11月8日の中間選挙で与党・民主党が勝利するためには国内のガソリン価格の低下が不可欠である」と考え、国内の反対を振り切って7月にサウジアラビアを訪問したバイデン大統領のメンツが丸つぶれになってしまったからだ。