最前線を軍用車で移動するウクライナ兵(5月28日、ドネツク州で、写真:ロイター/アフロ)

 ウクライナ東部、ロシア軍の侵略が続く東部のルハンシク州ガイダイ知事は、州の95%がロシア軍の支配下にあり、最後の拠点「セベロドネツク」も3分の2が露軍に包囲され、少なくとも1500人が死亡、住宅の9割が損壊している、と明らかにした――。

 という報道(https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/56764)がありました。

 ここで日本の仮想的な状況を考えてみたいのです。

 仮にこのような状況となったとき、つまりロシアであれどこの国であれ、海外から侵略の武力攻撃があったとき、その地に踏みとどまって被害状況を確認する知事や市長、市議会議長などが、どの程度、今の日本、21世紀の我が国に存在するか?

 極めて少ない可能性が高いのは、同じウクライナで2014年に発生したロシアのクリミア侵略時点で、大半のウクライナ将兵がただちに投降、ないし露軍に寝返り、武器弾薬もろとも略取された経緯から見ても、想像に難くありません。

 ここで、あえてお聞きします。皆さん、いざ「そのとき」が来た場合、「国のために命を投げうつ覚悟」ができていますか?

教育立国・拠点形成シンポジウム

 突然話が飛ぶようですが、来る6月4日、東京都美術館講堂で「教育立国・拠点形成シンポジウム」(https://www.schweitzerstreamm.com/symposium)を開催します。

 文化勲章受章者である情報幾何学の甘利俊一教授、文化庁長官OBでもある国際ファッション専門職大学の近藤誠一学長、日本私立大学協会長を務める玉川大学の小原芳明学長といった日本を代表するラインナップが登壇。私たち東京大学スタッフも全力で支えます。

 科学的な根拠に基づいて、AIが標準となった今日、新しい人を育て、新しいイノベーションを推進し、文字通り教育で「国を立てる」議論に、タブーなく切り込みます。

 ご来場にはチケットが必要ですが、遠隔配信は申し込めばフリーで視聴可能ですので、ご興味の方には、ぜひアクセスしていただければと思います。

 ここでも議論を予定している一つに、ウクライナ戦争で世界史が動き始めてしまった今日、日本の教育はどのような「価値観」「世界観」あるいは「生命観」を教え得るのか、あるいは教えることはできないのか、といった議論をあえて提題してみようと思っています。