ロシア軍が撤退したブチャの町でロシア軍による拷問・虐殺の事実が次々と見つかっている。写真は3人の男性の遺体の前に立ちすくむ女性(4月5日ブチャで、写真:AP/アフロ)

 ウクライナ戦争初期にロシア軍が進駐し、1か月の占領後に撤退、ウクライナ側に奪還されたキーウ(キエフ)近郊の町ブチャ(Bucha)。

 人口4万の小さな町ブチャで(https://www.yomiuri.co.jp/stream/article/19115/)少なくとも410体に上る一般市民の拷問・虐殺遺体が発見され(https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-kuleba-bucha-idJPKCN2LW1OL)国際的に大きな波紋を広げています。

 占領中の3月中から、衛星写真などを通じて、路上に遺体が散乱している可能性(https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-bucha-images-idJPKCN2LX0TU)が指摘されていました。

 実際にロシア撤退後、ヴォロデミィル・ゼレンスキー大統領自身を含むウクライナ側が踏み込んでみると、路上や屋内、地下室などに死体が散乱。

 ジーンズ姿のまま両手を後ろに縛られ、頭部を撃ち抜かれた状態の遺体など(https://www.sponichi.co.jp/society/news/2022/04/05/kiji/20220405s00042000133000c.html)凄惨な拷問の様子が明らかになってきました。

 残虐行為、戦争犯罪はウクライナ戦争の随所で発生、ブチャの虐殺は「氷山の一角」とも捉えられています。

 こうした「ブチャの遺体群」は日本の報道陣も確認している模様で(https://www.fnn.jp/articles/-/342644)、この時期に市民を対象に何らかの拷問、殺人行為があったことは、まず疑いようがありません。

 しかし、ロシア外相は公式に否定(https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000250414.html)し、国連安全保障理事会・緊急会合の開催を要請すると表明。

 他方、国連のグテレス事務総長は「ブチャで殺害された民間人の画像に大きな衝撃を受けている」「独立した調査によって、説明責任がしっかりと果たされることが不可欠だ」(https://www.jiji.com/jc/article?k=2022040400159&g=int)と異例の短信を公表。

 ネット上では「遺体写真はニセモノ」「その証拠に、遺体が動いた」などとする、ロシア側アカウントからのフェイク情報も大量に発信されており(https://news.yahoo.co.jp/byline/kazuhirotaira/20220405-00289950)見え透いた責任回避の工作が観察されます。 

 このような統制の取れない軍隊のあわただしい撤退後、残虐行為の証拠が残されるさまは、アウシュヴィッツ・ビルケナウ強制収容所の解放を彷彿させるもの、まさに「ジェノサイド」「ホロコースト」以外の何物でもありません。

 ロシア側の戦争犯罪は動かしようのない事実となりつつあり、司法訴追の可能性も現実味を帯びてきました。