第13期全国人民代表大会(全人代)第5回会議にあわせて記者会見を行った王毅外相(2022年3月7日、写真:AP/アフロ)

(福島 香織:ジャーナリスト)

 中国・北京では全国政治協商会議、全国人民代表大会の「両会」が3月4、5日と相次いで開幕した。この春の政治イベントは、中国が公式に国内外に向けて政策を発信する場でもある。

 中でも3月7日に開かれた王毅外相の特別記者会見は、中国の世界観、国際観がよくわかる会見だった。この記者会見で、ロシアがウクライナに侵攻したことについて中国の立場が問われたとき、王毅は「必要な時に国際社会とともに必要な仲裁の道を切り開きたい」と述べた。この発言の真意はどこにあるのだろうか。記者会見での王毅の興味深い発言を紹介したい。

「火に油を注いだ」と米国を非難

 まず、ウクライナに関しては以下のような趣旨の発言があった。

「三尺の氷は一日の寒さできるものではない。ウクライナ情勢が今日に至るまでの原因は複雑に錯綜している。複雑な問題を解決するには冷静さと理性が必要で、火に油を注ぎ、対立を激化させることではない。中国は、目下の危機を緩和するには、国連憲章の主旨と原則を堅持し、各国の主権と領土の完全性を尊重し保障するべきだと考える」

「争いは、対話を堅持し、平和的な方法で解決せねばならない。地域の長期的安定に着眼し、バランスのとれた、効果的で持続可能な欧州の安全メカニズムを構築すべきである」

「(ロシアとウクライナの)衝突発生の翌日、習近平主席はプーチン大統領と電話会談したとき、双方の対話をできるだけ早くみたいと意見した。プーチン大統領も積極的な回答を行った。・・・中国は対話を促すために建設的影響力を発揮していきたいし、必要な時に国際社会とともに必要な仲裁の道を切り開いていきたい」