イギリス、オーストラリアとの共同会見で安全保障の新枠組み「AUKUS」構築を発表した米国のバイデン大統領(2021年9月15日、写真:ロイター/アフロ)

(北村 淳:軍事社会学者)

 アメリカはソ連との冷戦に打ち勝ち世界最強の軍事的スーパーパワーと自認したことが、慢心へと繋がった。そして米本土におけるテロ攻撃に怒り狂い、反米イスラムテロ組織壊滅のための対テロ戦争を20年間も遂行した。

 対テロ戦争の主たる戦場はイラクやアフガニスタンの砂漠地帯、市街地、山岳荒れ地であった。そのため、地政学的にはアメリカの国防の主力であるはずの海洋戦力の強化がこの20年間で滞りがちとなった。気がついたときには、覇権主義的海洋戦略を推し進める中国の海洋戦力に猛追されており、一部戦力は追い抜かれてしまった。今やペンタゴン自身もその事実を認めざるを得ない状況に立ち至ってしまっている。

“やっている感”をアピールしたいバイデン政権

 トランプ大統領は、アメリカにとって経済的にも国際政治的にも軍事的にもさして利益のない対テロ戦争をアメリカ国防戦略最大の課題から外し、アメリカの主仮想敵を中国に据え直した。そして大国間の対決に打ち勝つ能力を確保するために、海軍力(造船や製鋼や最先端技術などのインフラをも含んだ幅広い意味での海軍力)の劇的強化を推し進め、世界最強の米海軍の再興を標榜した。

 実際にトランプ政権時代には、軍艦建造費をはじめ海軍関連予算が大幅に増額される方針が打ち出された。