写真:アフロ

 東京五輪で南アフリカ、メキシコそしてフランスに対し圧倒的な強さでグループステージを勝ち上がったサッカー日本代表(U-24)は、メダル獲得を期待された決勝トーナメント3試合でわずか1点しか奪えず4位に終わった。A代表においては、カタールワールドカップに向けた最終予選、初戦となるオマーンとの1試合で完敗を喫する。

 逆風が吹き始めた日本代表。果たしてロシアワールドカップから前進しているのか。

 鹿島アントラーズでJ1リーグ三連覇に貢献し、『Football PRINCIPLES ~躍動するチームは論理的に作られる~』を上梓した岩政大樹が、同書刊行記念として開催されたオンラインイベント『PITCH LEVELラボ ver.2キックオフLive』で、その視点について語っている。

 カタールワールドカップに向けて正念場を迎えた今、現在地はどこにあるのか。

もったいなかった「東京五輪」

――(参加者からの質問)東京五輪を経て、日本代表をどうみていますか。

 日本サッカーは、かなり高いレベルにまできていると思います。(東京)五輪では選手個人が、世界のトップレベルの選手たちとも(上回るまではいかなくても)五分の戦いを演じ、耐えきれるところまではきている。ああいう試合ができるようになっているということは、世界は近づいてきているんだろうな、と。

 だからこそ、もったいない五輪だったとも思いますね。

 特に決勝トーナメントに入って、相手チームもいろいろと対策を立てきたので、(例えばシステム的に)ちょっとかみ合わせが悪くなってきたときに、選手はどうバリエーションを加えていくのか。監督がそれを見ながらどう修正をしていくのか。

 それを正確に見極められるようにならないといけない段階にきていると思います。その上で打って出た「手」が有効に働きいい時間を作り出す、それを見た相手がまた対策をしてくる、その次はまた日本が対策を……ということを繰り返しできるようなサッカーになっていかないと、ここから先のレベルにはいけないのだろう、とも感じました。

 そこのフェーズに入っていくきっかけになったと思えば、いい大会でもあったと思います。日本のサッカーのレベルもそこまで来ているというふうには思いますね。