2020年に北朝鮮が発射訓練を行った弾道ミサイルとそれを視察する金正恩総書記(韓国ソウル市内のテレビより)

 2020年10月と2021年1月の北朝鮮の軍事パレードでは、新型のICBM(大陸間弾道ミサイル)やSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)「北極星4・5号」、多くの短距離弾道ミサイル、新型の戦車や軽装甲機動車が登場した。

 長射程化・特異な飛翔・精度を向上させたミサイルの開発や装甲機動できる地上部隊を増強している。

 部隊数は、ミサイル旅団を9個から13個に増やし、装甲車で攻撃できる機械化師団を4個から6個に増設している。また、10万~12万人もいる特殊部隊の兵器を近代化している。

 一方で、北朝鮮(以後、北)軍の動向は、2021年1月の軍事パレード以降、演習・訓練の情報もなく、低調で静かな気配だ。

 北軍は今、何を行っているのか、動きがなかなか見えてこない。新型コロナウイルス感染防止の影響なのか。

 このような中、2021年7月下旬に、北軍は連隊長以上の各級指揮官および政治将校約5000人を集めた「第1回指揮官・政治将校講習会」を、また約3000人の退役兵を集めた「第7回全国老兵大会」を実施した。

 これほどの現役・退役の軍人および政治将校を同時に集めての集会は、極めて異例のことである。

 この理由は、連隊長・政治将校を通して、兵士一人ひとりにまで徹底したい事項があるからであろう。

 北軍が2月以降、実施していること、実施していないことを踏まえて、多数の指揮官や退役兵を集めた講習会や大会の狙いと内容を分析し、北軍が何をしようとしているのかについて検証する。