東京都市大学の吉川弘道名誉教授が立ち上げた「土木ウォッチング(https://www.doboku-watching.com/)」は、土木構造物の画像や関連情報を集めたWebサイトだ。事業体(世界銀行、新聞社、土木学会、鉄道・運輸機構などの企業)と個人からの投稿や資料提供でコンテンツが構成されている。

 先に紹介した明石海峡大橋のような写真を、図鑑のページをめくるような感覚で閲覧できる。本記事で紹介する写真はすべて同サイトで見ることができる。個別URLは記事最後にまとめた。

Webサイト「土木ウォッチング」。土木広報大賞2019(土木学会)準優秀部門賞(イベント部門)を受賞。1051件の写真や資料が登録されている(2020年5月11日時点)

見学できる土木構造物「インフラツーリズム」

 土木インフラは、本来の役割とは別に、そのものが醸し出す圧倒的な存在感をアピールする、「魅せる土木」としても注目されるようになっている。こうした公共施設(インフラストラクチャー)を観光資源と捉える考え方を「インフラツーリズム」と呼び、国土交通省も土木構造物の魅力をアピールする名称として採用している。

 冒頭の明石海峡大橋と並ぶインフラツーリズムの代表例が、首都圏外郭放水路(埼玉県春日部市)だ。首都圏外郭放水路は積極的に施設見学を実施しており、「地下神殿」の異名をとる調整水槽が有名だ。

「土木ウォッチング」には、通常では見学できない、立坑をつなぐ地下トンネルの写真も掲載されている(画像提供:国土交通省 関東地方整備局 江戸川河川事務所)

※首都圏外郭放水路の関連記事
“土木萌え”なら外せない絶景スポットがこの真下に
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56242

台風19号での氾濫対策に「地下神殿」も貢献
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57932

 見学会に参加するような大げさなものではなく、「行けば自由に見られる」ものもある。次の写真は、東京湾アクアラインのパーキングエリア「海ほたる」に展示されている巨大モニュメント「カッターフェイス」だ。海底トンネルの掘削に使用したシールドマシンの前面に取り付けられていたカッターを使い、芸術家の澄川喜一氏が制作した。

夜間にライトアップされた直径14.14mのカッターフェイス。そばを歩く人と比べると大きさがよくわかる

「インフラツーリズム」といってもさまざまな種類がある。吉川先生は、インフラツーリズムを次のような4つに分類している。土木インフラを見に行くのであれば、この分類でまず絞り込んだうえで、候補を探すのがいいかもしれない。

インフラツーリズムの4つの分類