米海軍佐世保基地でのミーティングの様子。ソーシャル・ディスタンシングが意識されている(出所:米海軍)

(北村 淳:軍事社会学者)

 米軍は1918年パンデミック(スペインかぜ=インフルエンザ)の発生源とみなされている。米国内で流行したインフルエンザは、米軍のヨーロッパ進駐によってヨーロッパに持ち込まれることになった。そのため米軍は、常日頃からインフルエンザをはじめとする感染症には警戒態勢を維持してきている。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大を受けて、トランプ政権は初期段階では楽観的であった。一方、米軍とりわけ東アジアを担当領域とするインド太平洋軍では、感染地域への訪問制限、基地間の移動制限、他国軍関係者との交流制限などの施策を連邦政府に先立って実施した。

米軍内でも感染拡大が始まった

 とはいっても、出動中の軍艦は別として、軍隊といえどもコミュニティーの一員であることには変わりはない。多くの将兵とその家族は軍事施設以外に居住しているし、米国内の基地はもちろん、日本をはじめ海外の米軍施設勤務者やその家族も私生活では周辺地域の一員である。

 つまり、各国に住む米軍関係者は、日常的に周辺地域の人々と交流がある。そのため、各国での感染確認者数の爆発的増加に伴い(不思議なことに日本はそれほどではないのだが)、米軍関係者の間でも感染拡大が確認され始めた。新型コロナウイルス感染の水際防止を最も効率よく実施できる軍艦内でさえも、感染確認者が発生している状況だ。

米軍の主要駐留国(韓国を除く)での感染確認者数(Worldometerのデータを基に作製)