不審船を停船させるCTF-150のフランス軍艦(写真:CMF)

(北村 淳:軍事社会学者)

 本年(2019年)5月から6月にかけて、オマーン湾周辺海域で6隻のタンカーが連続してテロ攻撃を受けた。それらのテロ攻撃の背後にイランが控えていると考えているトランプ政権は、これまでのアラビア半島周辺海域での対海洋テロ警戒態勢を一層強化するための多国籍海軍部隊の結成を国際社会に呼びかけていた。

アラビア半島の周辺海域と6隻のタンカーが攻撃された場所。ペルシア湾とオマーン湾をつなぐ海峡がホルムズ海峡
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 しかしながら、アメリカの呼びかけに応じる国は極めて少ない状態が続いていた。アメリカはイランを仮想敵としているため、アメリカが結成しようとしている多国籍海軍部隊は、場合によってはイランと対決することになりかねないためである。

「CTF-センチネル」司令部を開設

 結局、トランプ政権が多国籍海軍のアイデアを打ち出してから5カ月近くも経過してしまい、さらなる海洋テロが発生することを恐れたアメリカは、賛同する国がわずかしかない状態のまま多国籍海軍部隊を結成した。                               

 11月7日、バーレーンにその多国籍海軍部隊の司令部が開設された。部隊の名称は「CTF-センチネル」(合同任務部隊センチネル)である。

 CTF-センチネルに参加したのはオーストラリア、バーレーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、イギリス、アメリカの6カ国の海軍である。初代司令官にはアメリカ海軍アルヴィン・ホルゼイ少将が就任した。