運動後の「筋肉の分解」を防ぐ計画的糖質補給法

運動後の栄養補給の考え方(後篇)

2018.10.19(Fri) 漆原 次郎
筆者プロフィール&コラム概要

ダイエットでも適切な糖質摂取を

――最後に、人々の運動をする目的として「肥満解消やダイエットのため」というのがとても多い気がします。この目的を重視すると、栄養補給の方法はどのようになりますか?

東郷 体重は1日の中でも変動が多く、女性の場合は月経周期によっても体重が増減するため、短期的な体重変動ではどの要因により減少したか判断しにくいといえます。短期的に目先の体重を減らすのでなく、長期的な視点をもって、運動の前後にやはり糖質を適切に摂取し、しっかり運動できる体の状態を保つことが大切だと私は考えています。

 糖質制限によるダイエット法が流行していることを、私も認識してはいます。実際、糖質を摂取することで筋グリコーゲンの量が増えて体重が増えるというのは事実でしょう。逆に糖質を摂らなければ、体重は減ることにはなります。

 けれども、知っていただきたいのは、筋グリコーゲンを貯蔵するとき、ブドウ糖1gに対して、水分2.6〜2.7gも加えて筋肉に貯蔵されるという事実です。糖質を摂らなければ、この水分の取り込みがなくなるため、“見かけ上”の体重は減ることになります。糖質制限で短期的に体重が減ったとしても、体内の水分が低下しており、それは“見かけ上”の減少ということになります。

 それに、糖質制限をすると「ご飯、パン、麺は食べずに、肉などのおかずを食べる」といった食事、つまり「糖質は摂らずに脂質は摂る」といった食生活になると思います。けれども、脂質1gを摂取したときエネルギーになる量は9kcalで、糖質1gを摂取したときのエネルギー量4kcalの倍以上あるのです。

 食事における脂質の摂取重量や割合が増えるということは、脂質からのエネルギー量を多く摂取してしまい、かえって太る(脂肪を蓄える)ことにつながります。また、体内の糖質量が減るということは、筋肉の分解を進めてしまうことを意味します。筋肉量の減少は脂肪の燃焼を妨げる結果となるため、体脂肪を増加させる悪循環の原因となります。

 糖質制限をして急速に減量するといった方法では、一気にリバウンドする場合もあります。闇雲にダイエットに挑むのでなく、計画的に、いつまでに体重あるいは脂肪量をどのくらい減らすか目標を立てて取り組むのが適切な方法だと考えています。

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1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。


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