したがって、米空軍は嘉手納航空基地を名実ともに「扇の要」として日本、韓国、そしてグアムの航空基地をネットワーク化して使用することができる。すなわち、嘉手納航空基地を拠点とすることによって、米空軍は沖縄の地理的条件を軍事的優位性に転化することができるのである。これに対して、いくら海兵隊が沖縄に陣取っているからといっても、基本的には地上移動軍であり、空軍のようにスピードを伴わない海兵隊は地位的条件を軍事的優位性に転化することはできない。

嘉手納基地の米空軍部隊(写真:米空軍)

 このように、沖縄を名実ともに「扇の要」として軍事戦略的要衝として活用できるのは在沖縄海兵隊ではなく嘉手納航空基地の米空軍戦力である。自力では沖縄から一歩も出撃できない海兵隊部隊が沖縄に配置されているからといっても、果たして中国人民解放軍が恐れおののいて対日軍事攻撃を思いとどまらせるほどの効果があるのであろうか? 日本侵攻を企てる勢力が恐れるのは強力な航空部隊であり、屈強な歩兵部隊ではないのだ。

日本防衛の視点からの説明も必要

 かれこれ20年以上にもわたってアメリカ海兵隊普天間航空基地移設を巡る問題が日米間の懸案であり続けている大きな要因の1つは、日本国防当局が海兵隊の沖縄駐留に関する説得力を持った説明を日本国民になさずにいることにあるといえよう。

 日本政府は、ホワイトハウスやペンタゴンのメッセンジャーではないのであるから、日本独自の視点で沖縄に海兵隊が駐留する軍事的意義を、分かりやすい言葉で日本国民に提示する義務がある。