【非戦闘員退避作戦に緊急出動】

 緊急展開能力と水陸両用能力に優れている海兵隊は、非戦闘員退避作戦(軍事紛争地域、政情不安地域、大規模自然災害地域などから自国民を救出し安全な地域に引き揚げさせる作戦)のエキスパートである。海兵隊が「扇の要」である沖縄に駐留することによって、日本だけではなく東アジアそしてインド洋沿岸域で様々な緊急事態が勃発した場合に、アメリカ国民ならびに場合によっては同盟国市民を救出するための非戦闘員退避作戦に緊急出動することが可能となる。

【人道支援・災害救援活動による国際貢献】

 水陸両用能力と緊急展開能力に優れている海兵隊は、大規模自然災害での救助救援活動や人道支援活動にも縦横無尽の活躍をする。たとえば東日本大震災でのトモダチ作戦に沖縄の海兵隊が投入されたことはまだ記憶に新しい(注:拙著『写真で見るトモダチ作戦』並木書房を参照)。沖縄を本拠地とする海兵隊部隊は、日本だけでなく東南アジアや南アジアでの人道支援・災害救援活動に緊急展開し、国際貢献を果たすことができる。

【北朝鮮の体制崩壊に備える】

 北朝鮮で独裁支配体制が崩壊の危機に見舞われるような事態が生起した場合に、アメリカ軍と韓国軍が対処する作戦構想が「CONPLAN 5029」(概念計画5029号)である。この計画によると、北朝鮮で戦争には至らない危機的事態が勃発した場合、沖縄の海兵隊部隊が朝鮮半島に緊急展開し、航空施設や港湾施設の占拠、核兵器や核施設の確保、兵員や物資の補給、戦術航空支援、地域の安定化作戦、海上阻止作戦など極めて重要な役割を果たすこととなっている。

【北朝鮮軍の韓国侵攻に備える】

 北朝鮮軍が南北国境線を越えて韓国に侵攻した場合を想定して韓国防衛のためにアメリカ軍と韓国軍が策定した軍事作戦が「OPLAN 5027」(作戦計画5027号)である。この計画によると、沖縄から緊急出動する海兵隊部隊は、国境線を超えて南下する北朝鮮軍の側面ならびに背後を攻撃したり、侵攻部隊後方の兵站能力を破壊するための作戦能力を備えているため、北朝鮮軍は正面攻撃に全力を割くことができなくなる。このように沖縄から海兵隊部隊が緊急展開できるという事実そのものが、北朝鮮軍の侵攻を鈍らせる要素となっている。

沖縄駐留に対する軍事的疑義

 上記のように海兵隊関係者たちが主張している「海兵隊が沖縄に駐留する理由」に対して、海兵隊と同じく沖縄に嘉手納航空基地という重要拠点を保持している米空軍関係者をはじめ、海兵隊と行動を共にする機会の多い米海軍関係者、それに海兵隊自身の中からも、「在沖縄海兵隊の現状に関する軍事的視点からの疑義」が漏れ聞こえてこないわけではない。それらのうちのいくつかを列挙する(ただし、それらは筆者の意見とは無関係である)。