・在沖縄海兵隊の配置状況は「MAGTF」の原則に反する

 海兵隊は「司令部部隊」「陸上戦闘部隊」「航空戦闘部隊」「兵站戦闘部隊」から構成される「海兵空地任務部隊(MAGTF)」という独自の戦闘組織構造を生み出した。それら4つの構成要素を出動事案に対応させ自由に変化させて、数百名から2万名以上の規模までの作戦部隊(規模によって海兵遠征隊、海兵遠征旅団、海兵遠征軍と呼ばれる)を編成するという仕組みがMAGTFという組織構造だ。そのため、それぞれの構成要素はできるだけ近接させて配置しておくことが原則である。

MAGTFの構造(作:CNS)

 ところが沖縄に司令部を置く第3海兵遠征軍の配置状況は全く異様である。下の図に、在沖縄海兵隊MAGTFの構造を示した。

在沖縄海兵隊MAGTFの構造(作図:CNS)

 司令部部隊と陸上戦闘部隊の主力、それに兵站戦闘部隊の主力はキャンプ・バトラー(沖縄各地に点在する海兵隊施設の総称)を本拠地にしており、航空戦闘部隊の一部である各種ヘリコプター部隊とオスプレイ部隊、ならびに兵站戦闘部隊の一部は沖縄の普天間航空基地(キャンプ・バトラーとは別扱いになる航空関連施設)を本拠地にしている。これらは何ら問題ない配置である。ところが、航空戦闘部隊の一部である戦闘攻撃機や空中給油機などの固定翼機部隊は普天間基地から970キロメートルも離れた山口県の岩国航空基地を本拠地にしている。この距離は、同一のMAGTFの配置状況とは考えがたい。それだけではない、陸上戦闘部隊の一部、兵站戦闘部隊の一部、航空戦闘部隊の一部は沖縄から7500キロメートルも離れたハワイ州オアフ島の海兵隊ハワイ基地を本拠地にしているのだ。

 このように、在沖縄海兵隊のMAGTF構成要素の本拠地が沖縄、岩国、オアフ島に遠距離分散されている状態は、常に緊急出動に備えるべき海兵隊が迅速かつ柔軟に緊急展開部隊を編成するというMAGTFの基本原則に照らすと、異様な状況であると言わざるを得ない。