・緊急出動に沖縄は適しているのか?

 海兵隊が出動する場合、作戦部隊は各種航空機や装甲車両その他の装備資機材とともに米海軍水陸両用戦隊の揚陸艦(基本的には強襲揚陸艦、ドック型揚陸艦、ドック型輸送揚陸艦の3隻)に乗り込み「水陸両用即応群」を形成して出動することになる。そのため、揚陸艦の母港が出動する海兵隊部隊の本拠地に近接していればいるほど、素早い緊急展開が可能になる。

 在沖縄海兵隊先鋒部隊である第31海兵遠征隊が出動する場合には、佐世保を母港とする米海軍第11水陸両用戦隊の揚陸艦(強襲揚陸艦「ワスプ」を旗艦として、ドック型輸送揚陸艦「グリーン・ベイ」、それにドック型揚陸艦「ジャーマン・タウン」あるいは「アッシュランド」)が沖縄に急行し、ホワイトビーチ米海軍施設で出動部隊が積載されることになる。

第31海兵遠征隊と第11水陸両用戦隊
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 佐世保からホワイトビーチまでは450海里ほど離れているため、揚陸艦が急行しても航海だけで丸一日以上は要してしまう。したがって、緊急出動命令が発せられてから沖縄の海兵隊部隊がホワイトビーチで揚陸艦に積載されるまでには2日近く擁することになり、“海兵隊本体が沖縄で、海軍水陸両用戦隊が佐世保”という配置は、海兵隊に課せられている緊急展開にとっては極めて都合が悪い状態であることになる。

・嘉手納空軍基地こそが「扇の要」

 沖縄は距離的には東アジアの「扇の要」に位置していることは事実である。たとえば沖縄から台北まで600キロメートル、上海まで800キロメートル、ソウルまで1250キロメートル、東京まで1500キロメートル、北京まで1800キロメートルといった距離だ。しかし、海兵隊であろうが米陸軍であろうが陸上自衛隊であろうが、いかなる陸上戦闘部隊にとってもそのような距離を数時間で移動することはできない。ところが、米空軍にとってはその程度の距離ならば数十分から2時間もあれば移動可能である。

日本と韓国に点在する米空軍基地間の距離
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