HPVワクチンの効果の持続性についても、研究は進んでいる。2017年11月、米国の研究者たちは米メルク社の治験の最終解析結果を発表し、接種者の8割以上で抗体が維持されており、効果は10年以上持続していることを確認した。かくのごとく、HPVワクチンの有効性に関する研究結果は世界各地から報告されている。

「世界標準ガーダシル9」は日本では未承認

 HPVワクチン研究を進める原動力は、製薬企業間の競争だ。当初、HPVワクチンは米メルク社のガーダシル(4価)と英グラクソ・スミスクライン社のサーバリックス(2価)が存在した。

 日本では2009年にサーバリックス、2011年にガーダシルが承認され、サーバリックスが先行したが、カバーするタイプが多いこともあり、海外ではガーダシルが支持された。

 2011年11月、英国政府は12歳~13歳の女児の定期接種に用いるHPVワクチンを、サーバリックスからガーダシルに変更すると発表した。サーバリックスを販売するグラクソ・スミスクラインは英国の企業だ。この判断は世界を驚かせた。

 両社の競争にケリをつけたのは、2014年12月に米FDAが9価のガーダシルを承認したことだ。従来の4つの型に加え、HPV-31、 -33、-45、-52、-58をカバーするようになった。従来の4価ワクチンがカバーするのは子宮頸がん全体の7割だったのが、9割に増えた。

 さらに2015年3月、米CDCの諮問委員会がガーダシル9の使用を推奨し、2016年10月にはグラクソ・スミスクラインが米国でのサーバリックスの販売を停止した。ガーダシル9は世界標準のHPVワクチンとしての評価を確立した。もっとも、日本では未承認である。

様々ながんにHPVが関係している

 HPVワクチンの研究が進んでいるのは子宮頸がんだけではない。肛門がん、陰茎がん、膣がん、外陰がん、頭頸部がんの一部はHPVが原因であることがわかっており、このようながんに対しても研究が進んでいる。

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