「巻き込み力」こそオープンイノベーションの要

次々と企業連携を遂げるPLAYERSに聞く、結果を出す協業の秘訣

松ヶ枝 優佳/2018.9.26

いいねツイートする

 「ハッカソン」「アイデアソン」という言葉がもてはやされるようになって久しい。しかし、これにより目に見える結果を出す企業や団体はごくわずかだ。

 そんな中、今回話を聞いた一般社団法人PLAYERS(以下、PLAYERS)はワークショップから生まれたアイデアを社会実装するため、次々に大企業とのオープンイノベーションを成功させている。

 PLAYERSを主催するタキザワケイタ氏をはじめ、普段は別に本業を持つメンバーが集まるプロボノチーム。限られた時間の中、「極めて異例」とも言われるスピードで大企業と手を取り合い、数度にわたる実証実験を行うまでに至った秘訣とは何なのか。タキザワ氏と、同団体のメンバーである安藤優氏に話を聞いた。

「実証実験」で実績をつくり、プロジェクトを前進させる

 2016年8月にGoogle主催の「Android Experiments OBJECT」、2017年3月にはLINE主催の「LINE BOT AWARDS」と立て続けにグランプリを受賞したPLAYERS。輝かしい受賞歴を並べると、アイデアやコンセプトの素晴らしさこそが成功の秘訣だと思いがちだが、そうではない。

 まずはPLAYERSとして最初のオープンイノベーションであり、後々のチャンスにもつながったという「スマート・マタニティマーク」の実証実験について話を聞いた。JR東日本と共に行ったこの実験を成功させるには、JR東日本の社員でもある安藤氏の奮闘が欠かせなかったという。実験の場は運行中の電車ではなく、鉄道博物館(さいたま市)内の展示車両が選ばれたが、安藤氏はその理由をこう語る。

「この段階では、とにかく形にすることを優先したんです。実際に動いている車両を(実証実験に)使うとなるとお客さまの安全性など考慮すべき点も多くなり、実施までに時間がかかってしまいますから」

JR東日本とPLAYERSをつなぐキーマンとなった安藤氏

 鉄道会社の義務として安全性には細心の注意を払う必要がある。また、どんなに良さそうなアイデアを打ち出していたとしても、実績のない団体や企業といきなり協業することは難しい。こうした大企業ならではの「事情」も加味し、まずは「形にする」「実績をつくる」ことを目指したことが、後の成功へとつながるきっかけとなったのかもしれない。

「Android Experiments OBJECT グランプリ : Smart Maternity Mark」……スマート・マタニティマークはこの動画のように、電車の中で立っているのがつらい妊婦と席を譲りたい人とを、Beaconデバイスやスマートフォンアプリでマッチングさせる仕組み