また、埋め立て作業開始後わずか4年ほどで、7つの人工島に各種レーダー施設や港湾施設や航空施設それに灯台をはじめとする軍事拠点とみなしうるだけの設備が設置され、海洋基地群へと生まれ変わってしまうと、誰が想像したであろうか? それら人工島の3カ所には、3000メートル級滑走路まで誕生しているのだ。

 オバマ政権が中国に対して腰が引けていたことは事実である。だが、アメリカ軍当局が中国の人工島造成能力を把握しきれず、南シナ海でのサラミ戦術から一気に軍事的優勢を掌握してしまう戦術に転換した中国の動きに対応することができなかったこともまた事実である。

手詰まり状態のトランプ政権

 では、トランプ政権はどうか。実はトランプ政権も、大統領選挙期間中は南シナ海での中国の覇権主義的動きに対して極めて強硬な姿勢を示していたものの、結果的に判断すると、それはオバマ政権を批判し民主党に大統領選挙で打ち勝つ戦術の1つであったにすぎなかった。

 トランプ政権発足後には、北朝鮮問題で中国の協力が必要になったという事情も生じたために、中国に対する強硬な姿勢は示さなかった。

 連邦議会や海軍などの対中強硬論も無視できなかったトランプ政権は、オバマ政権下で“しぶしぶ”開始された南シナ海での「公海航行自由原則維持のための作戦」(FONOP)を再開した。しかしながら、オバマ政権下での倍以上の頻度でFONOPを実施し始めた矢先、アメリカ太平洋艦隊軍艦が立て続けに重大衝突事故を起こしたりしたため、FONOPのペースを上げることができなくなってしまった。

 もっとも、米海軍が南シナ海でFONOPを実施すると、それに対して中国は「アメリカの軍事的脅威からの自衛」を口実にして、ますます西沙諸島や南沙人工島の軍備を強化する、というイタチごっこが続いている状況だ。