1カ月以上の長期休暇制度である「サバティカル休暇」が、社会人の学び直しの手段として注目されている。しかし、法定の有給休暇の取得率さえも低い日本の職場で、こうした長期休暇制度の導入は進むのだろうか。
今年(2018年)3月に「サバティカル休暇」導入を発表したHRテック(HR Tech)事業を展開するアトラエに、その背景や考え方について聞いた。
有給休暇取得ワースト1位の日本、ネックは「罪悪感」?
「サバティカル休暇」とは長期休暇制度のこと。サバティカルの語源は安息日(サバティカス)に由来する。一般に、勤続年数が長い勤務者に、1カ月~1年程度の長期休暇を付与するものとされており、欧州を中心に導入が進んでいる制度だ。
今年3月にまとめられた経済産業省・我が国産業における人材力強化に向けた研究会の報告書*1で、「学び直し」に有用なものとして「サバティカル休暇」促進が言及されるなど、日本においても注目が高まっている。
一方、日本では、法定の有給休暇の取得率さえ低いという現状がある。旅行会社のエクスペディアが実施した世界30カ国の有給休暇取得に関する調査(2017年)*2によると、日本の有給休暇消化率は50%(支給20日に対し10日)と2年連続最下位だった。1位のフランス(支給30日に対し取得率100%)と比べると、取得日数は20日も少ない。
その理由はどのようなものだろうか。同調査の「有休取得に罪悪感を感じる人の割合」で日本は1位(63%)。また、BIGLOBEの有給休暇に関する調査(2017年)*3では、「有給休暇を取得できない、しづらい理由」の1位は「職場に休める空気がないから」で、2位に「自分が休むと同僚が多く働くことになるから」が続く。そして、会社が「有給休暇を取りやすくするための工夫をしていない」と回答した人が74.4%と多数を占めている。
こうした結果から、周囲への配慮で感じる罪悪感によって職場全体が休みづらい雰囲気となっており、会社も有給休暇取得を後押ししないために、結局休暇を取らずに終わる、という現状がうかがえる。「サバティカル休暇」のような長期休暇の導入とともに休暇取得を現実的なものにするためには、こうした状況も改善する必要性がありそうだ。
*1:http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/data/20180319001.html
*2:https://welove.expedia.co.jp/infographics/holiday-deprivation2017/
*3:http://www.biglobe.co.jp/pressroom/info/2017/07/170731-1