「週5日フルタイム」にとらわれない働き方とは。

 多様な働き方を実現するための枠組みとして、労働条件を限定した正社員のあり方が注目されている。

 こうしたあり方の1つとして「週4正社員」を推奨し、2011年から自社に導入しているのがドリームサポート代表・安中繁(あんなか・しげる)氏だ。社会保険労務士で『週4正社員のススメ』(経営書院)の著者でもある同氏に、「週4正社員」のメリットや導入の際のポイントを聞いた。

そもそも「週4勤務で正社員」ってアリなのか?

「週4正社員」とはその名のとおり、週に4日のみ勤務する正社員のことである。しかし、そもそも、週4日勤務の社員を正社員と呼んでいいのか? と思われる方もいるかもしれない。

ドリームサポート社会保険労務士法人 代表社員/特定社会保険労務士の安中繁(あんなか・しげる)氏。2007年安中社会保険労務士事務所開設。2015年法人化し代表社員に就任。約300社の顧問先企業のために労使紛争の未然防止、社内活性化のための人事制度構築支援、裁判外紛争解決手続代理業務にあたる。新しいワークスタイルの選択肢である「週4正社員制度」の導入コンサルティングを得意とする。各種経営者団体での講演実績多数。近著『週4正社員のススメ』(経営書院)、『Q&Aでわかる!管理職のための労基署対策マニュアル』(宝島社)、『裁判例や通達から読み解くマタニティ・ハラスメント』(共著、労働開発研究会)。

 安中氏はそうした疑問について「日本ではフルタイムで働き、残業も休日出勤もいとわず、遠方への転勤にも異を唱えないのが正社員、という固定観念があるように思います。しかし、『正社員』という法律上の定義はなく、週5日フルタイムで働かなければならない、というわけでもありません」と説明する。

 たしかに「会社のために無限定で働くのが正社員」というイメージは強い。しかし、こうした従来型の正社員とは違った、限られた労働条件の下で働く正社員がいてもいい、ということである。

 実際、政府は働き方改革の1つとして、こうした労働条件を限定した正社員のあり方を推奨している。たとえば、勤務地や職務、勤務時間を限定した正社員だ。「週4正社員」をこの中にあてはめれば、勤務時間を限定した正社員ということになる。さらに、ポイントとなるのが次の2つだ。

(1)1週間に休日が3日あること(週休3日制)
(2)給与水準はフルタイム正社員と原則同等であること(時間差分のみ減額)
 

 ドリームサポートで運用している「週4正社員」制度はこの2つに加えて「週所定労働時間数が通常の社員より短いこと(1日7時間、週28時間)」がポイントとなっている。