不動産の“素”の価値をはじき出す

写真1 不動産価格予測サービス「GEEO」の画面例

 GEEOの特徴は、国勢調査や住宅・土地統計調査、地価公示など官公庁や地方自治体が公開している多様な「オープンデータ」を活用している点である。政府が旗を振り、オープンデータを社会課題の解決や経済活性化に役立てようとする動きは数年前から徐々に始まった。GEEOはオープンデータにいち早く着目して実現した不動産テックの一つだ。

 一般的な不動産の価格査定は、部屋の広さや間取り、最寄り駅からの距離など条件が似た複数の物件の現在の売出価格や過去の成約価格を参考にして価格を算出する。これに対してGEEOは、物件所在地の人口や世帯の動向などを考慮しながら、地価や建物の原価を予測して不動産の成約価格を推計する。売り主が「売却したい」金額、あるいは買い主が「購入しても良い」と最終的に判断した金額と異なり、不動産が本来持っているであろう“素”の価値を、物価変動を加味したうえではじき出す。

 建物の原価を算出する機能を持っているため、GEEOは住宅だけでなく商業ビル、ホテル、工場、倉庫、病院など幅広い物件の価格を予測可能だ。さらに、参照できる過去の取引実績や売出物件がほとんどない地域の不動産価格も、地価公示、建物の構造や建築年などを基に推計できる。

 GEEOを使ってピンポイントで予測可能な既存物件は現在、全国で約6000万件。建物のカバー率は96.2%だという。取引が活発でない地域を含め全国規模で不動産価格を算出するサービスは極めて珍しい。

物件所在地のブランド力を価格に反映

写真2 「GEEO」は対象物件から最寄り駅までの道路距離を自動で算出する

 GEEOは、利用者がWebブラウザに表示された地図上の建物をマウスで指定すると、土地価格や建物価格を算出して表示する。このとき、人口動態や地価公示など膨大な量のデータと位置情報を関連付けて分析することで、建物の種別(中古マンションや戸建て)や構造(鉄筋コンクリート造や木造)を自動で判断したり、建築面積を算出したりする仕組みになっている。

 GEEOは各種オープンデータと位置情報を組み合わせた分析によって、売り主や買い主、不動産会社の恣意性を極力排した価格予測を可能にした。

 例えば、最寄り駅の扱い方。物件所在地の住所が同じ「東京都大田区田園調布」であっても、最寄り駅が東急線の田園調布駅かそうでないかによって不動産の価値は本来違うはず。駅まで徒歩5分以内や10分以内といった大ざっぱな距離感ではなく、道路距離が400メートル(徒歩5分)か、480メートル(徒歩6分)か、720メートル(徒歩9分)かによっても少しずつ変わってくるはずだ。