RPA導入を当初から主導してきた日本生命保険の藤吉亮輔氏(左)と大岩根誠氏(右)

 日本生命保険は、「RPA(Robotic Process Automation、ソフトウェアロボットによる業務自動化)」の有用性にいち早く着目し、積極的に導入・展開を進めてきた国内でのRPA先行企業である。事務処理の負担増が見込まれる金融機関窓口販売(窓販)商品の事業において、2014年からソフトウェアロボットによる業務の自動化に取り組んできた。最初のソフトウェアロボットが稼働してから約4年。RPAの適用領域を拡大し続け、これまでに窓販事業だけで合計26種類の業務を、ソフトウェアロボットが人に代わって遂行している。

 日本生命は、RPAによる業務効率化の成果が確認できたとして、窓販事業以外へのソフトウェアロボットの横展開を加速している。2018年5月現在、窓販事業の26業務とは別に、個人向けと法人向けの保険商品に関する業務で、28種類の事務処理にソフトウェアロボットを展開済み。さらに、6月から資産運用事業において、新たに10種類の業務でソフトウェアロボットの利用を始める。

 4年間にわたってRPAの適用領域を広げながら業務効率化の成果を着実に引き上げてきた日本生命の事例は、これからRPAに取り組もうという企業にとって参考になる点が少なくない。ここではポイントを3つに絞り、日本生命の取り組みから得られる知見を紹介しよう。

 第1に、多くの企業にとってRPAの適用余地は大きく、業務効率化の効果を積み上げやすいこと。第2に、専門特化型と複数業務対応型のソフトウェアロボットの使い分け。第3に、ソフトウェアロボットの活用で、今後のシステム開発の負担軽減につながる可能性があること、である。

小さな業務効率化の積み上げが大きな効果に

 日本生命が最初にRPAの対象業務に選んだのは、窓販(金融機関窓口販売)の保険契約者を対象にした住所変更の手続きである。