「ホワイトカラーのデジタル化で日本企業がトップランナーになれる」と話すアビームコンサルティングの安部慶喜執行役員

 デジタルトランスフォーメーションや働き方改革を実践する企業が期待を寄せる「RPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務自動化)」。人手に頼ってきた事務作業をソフトウェアロボット(デジタルレイバー)で代替することで業務の大幅な省力化が期待できる、として導入する企業が増え続けている。「世界的に見ても、RPAがこれほど短期間で一気にブレークしたのは日本だけだ」。そう話すRPAの“火付け役”の一人、アビームコンサルティングの執行役員 プリンシパルである安部慶喜氏に、RPA実践の勘所を聞いた(以下、聞き手は筆者)。

1年間で1000社超え、世界に例を見ない大ブレーク

 RPAの導入は、欧米では2015年あたりからジワジワと進んできた。一方、日本ではそれより少し遅れて2016年下期に一部の企業で導入の動きが広がり始めたのだが、逆に2017年には世界で例を見ないほどの大ブレークとなった。

 当社とRPAテクノロジーズ、日本RPA協会の調査では、2017年だけで458社の国内企業が何らかの業務でRPAの実践に乗り出した。当社やRPAテクノロジーズ以外の企業が手掛けた導入例を加えれば、RPAに取り組みだした企業は昨年1年間だけで優に1000社を超えたはずだ。企業向けのITツールがここまで短い期間でユーザー企業に浸透するケースは珍しい。

 3年前、当社でRPAの導入支援に従事する専任担当者は、たったの3人だった。それが今では50倍以上の150~200人体制に陣容が拡大している。RPAを導入し、短期間で定量的な効果が確認できた事例が次々と出てきたことで、国内企業の導入機運が爆発的に高まった格好だ。正直なところ、これほど垂直的な導入機運の盛り上がりには驚いている。

 欧米ではもともと、複数の社内部門に共通する業務を担うシェアードサービスのような労働集約型の仕事でRPAの利用が広がった。最近になってようやく、ホワイトカラーの仕事でもRPAが使われるようになってきた段階だ。これに対して日本では初めから、営業企画資料の作成や調査レポートの作成といったホワイトカラーのパソコン業務にRPAが入っていった。