デジタル化でしばらく遅れをとってきた日本だが、RPAツールで開発したソフトウェアロボット、すなわちデジタルレイバーの本格的な活用では間違いなく欧米より一歩先を進んでいる。とりわけ、ホワイトカラー業務のデジタル化においては、世界のトップランナーになれるチャンスが十分にある。

RPAが日本にフィットした理由は

 日本でRPAが一気に浸透した背景には、いくつか理由がある。

 第一に挙げられるのは、空前の働き方改革ブームである。上場企業で働き方改革に臨んでいない企業を見つけるのは、ほとんど不可能に近い。そう言えるくらい、すべての企業が取り組んでいる。

 国内企業の多くが働き方改革の一環で真っ先に掲げる目標の一つは、長時間勤務の是正だ。「XX時以降の残業禁止」や「ノー残業デー」といった制度やルールを設け、実現しようとしている。

 しかし、厳しい言い方になるが、制度やルールで残業時間に一定の縛りを課すだけだと、本質的には何の変革にもならない。業務の量が変わらなければ、ビジネスの最前線で奮闘する従業員は、むしろしんどい思いをする。そんな実情に対し、事務作業を自動化して業務量を減らすRPAはピタッとフィットした。

 長期的に労働人口の減少が見込まれ、優秀な人材を採用しづらくなりつつあることも、RPAの導入を強く後押しする要因の一つになっている。人材獲得競争が熾烈を極めるようになると、社外から優秀な人材を採用するコストが、今まで以上に膨らむ可能性がある。望む人材を採用できたとしても、自社の業務内容やノウハウの教育など人材育成には、どうしても一定の時間を要する。