組織の「幸福度」を測りパフォーマンスを向上

センサーとAIを使い幸福度を高める行動を各人にアドバイス

栗原 雅/2018.5.30

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日立製作所研究開発グループの基礎研究センタの佐藤信夫氏(左)、辻聡美氏(中央)、嶋田敬太氏(右)

 日立製作所はデジタル技術を駆使して働き方をアドバイスする技術を開発した。カギとなるのは、組織の「ハピネス度(幸福度)」という指標。組織が活気に満ちているかどうかを示す“活性度”と言えるものだ。

 ハピネス度は、ビジネスパーソンがオフィス内で無意識に繰り返すごくわずかな動き(振動)を、名札型センサーで捉える。このセンサーは、キーボードを操作する際の体の小さな揺れさえも感知できる。通常は、揺れが継続する時間帯と静止する時間帯が繰り返される。ところが、ストレスが大きく元気がない(ハピネス度が低い)組織ほど、長く揺れが継続する時間帯の発生頻度が低くなることが判明した。さらに、ハピネス度の高い組織は、パフォーマンスや業績の向上に結び付くこともわかった。

 この因果関係を基に、AI(人工知能)を使ってハピネス度に影響を与える要因を見い出すことで、組織のパフォーマンスや業績の向上につながる行動を各メンバーに提示するという仕組みだ。

ハピネス度が高いと組織のパフォーマンスが向上する

 コールセンターの例を見てみよう。

 コールセンターにおいてはオペレーターのスキルや経験値の高さが、セールスの成約率や問い合わせ対応の満足度といった組織のパフォーマンスと密接に関係しているように思える。しかし、「実際にはオペレーターのスキルなどとの相関はあまりみられない代わりに、休憩時間の過ごし方が日々のチーム全体のパフォーマンスに大きく影響する」と、日立製作所研究開発グループ基礎研究センタの辻聡美主任研究員は話す。

 商品やサービスのセールスをするアウトバウンドのコールセンターにおいては、昼休みにオペレーターが同僚たちと会話を楽しむ時間が長い日が、ハピネス度も高くなる。そして、ハピネス度が高い日の受注率は、低い日の受注率を34%も上回ることが判明した。昼休みの会話によってオペレーターの活気が相互に“伝染”したことが、ハピネス度を上げたと考えられる。