同じコールセンターでも、顧客からの注文や問い合わせを受け付けるインバウンドのコールセンターは、アウトバウンドのオペレーターとは逆に、休憩時間に一人で静かに体を休めリラックスしているとハピネス度が向上する。すると、1件あたりの対応時間が短くなるなど、組織パフォーマンスが上がることが確認された。

ハピネス度を高める行動をAIがアドバイス

 では、組織のハピネス度を上げるにはどうしたらよいのか。コールセンターの例からも明らかなように、「ハピネス度を上げる一律の方法はなく、組織によって異なる」(辻氏)。組織にはそれぞれ異なる特性があるからだ。

 経験が豊富な人材を擁する組織や、人材の入れ替わりが比較的多い組織。商品やサービスを顧客に販売する営業部門や、業務効率化のために情報システムを開発するIT関連部門。社内にはさまざまな特性や役割の組織がある。

 このように組織ごとに異なる特性を見極め、組織ごとに適したアドバイスを行うため、日立は独自開発のAI技術「Hitachi AI Technology/H」を活用した。名札型センサーを使って会話の頻度やデスクワークの時間などのデータを収集し、組織のハピネス度との相関が強く認められる個人の行動パターンをAIで導き出す。

 名札型センサーは、揺れを測る3軸加速度センサーのほかに、6個の赤外線センサーを備えている。赤外線センサー同士の通信記録から、誰と誰が対面していたかや、同じ場所に何人が集まっていたかを把握できる。

 名札型センサーで収集したこれらのデータを基に、「誰と会話したか」「何人で話したか」「何分間会話したか」「どの時間帯に話したか」など約130種類の行動パターンと、ハピネス度との相関を網羅的に調べる。そして組織のハピネス度の向上に大きな影響を与える行動パターンを特定し、スマートフォンアプリ「働き方アドバイスアプリケーション」の画面にアドバイスを表示する。

働き方アドバイスアプリケーションでの働き方アドバイスの例