2017年3月末に発足した陸上自衛隊・水陸機動団の編成式が、4月7日、執り行われた。水陸両用機動団は、島嶼防衛(注)を強化する努力の一環として発足された部隊であるとされている。
(注:他国と陸上で隣接していない日本のような完全な島嶼国の防衛も、規模の大きい『島嶼防衛』ということができる。ただし本稿では、自動車や鉄道といった陸上交通手段では到達することができず、船舶や航空機といった海洋交通手段でしか到達することができない島嶼、すなわち本州、九州、四国、北海道以外の日本国土とその周辺海域の防衛を「島嶼防衛」と呼称する。)
「島嶼奪還」は「島嶼防衛」ではない
本コラムではしばしば、日本のメディアでは「島嶼防衛」と「島嶼奪還」の混用が目につくと指摘してきた。水陸機動団の発足を取り上げている報道の多くも、あいかわらず島嶼防衛と島嶼奪還を混同してはばからない。
もっとも、防衛省による水陸両用機動団に関する説明(平成29年版防衛白書)自体が誤解を招く一因となっている。説明にはこう書かれている。