日本国内では、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威と、韓国文在寅(ムン・ジェイン)政権の対北融和姿勢ばかりが注目され、今にも韓国が北朝鮮に併合されかねないような印象が強まっている。
しかし、韓国はそれほど弱体な国なのか、その軍事政策や軍事力整備の実態については、意外に知られていない。
米ドナルド・トランプ政権も昨年9月の電話による首脳会談以降、韓国がSSBN(弾道ミサイル搭載原子力潜水艦)を保有することを容認する方向に政策転換している。日本は、北朝鮮のみならず韓国に対してもどう備えるべきかが問われている。
1.北朝鮮以上の核開発潜在能力を持つ韓国
韓国には投射手段も含め核戦力保有の高い潜在能力がある。
核兵器の保有について韓国国内世論には、日本のような核アレルギーはなく、一貫して過半数の国民が支持している。
韓国ギャラップ社が昨年9月8日に発表した、同月5~7日に全国の成人男女1004人を対象に実施された世論調査結果によれば、韓国が核兵器を保有することについて賛成は60%、反対は35%であった(『聯合ニュース』2017年9月8日)。
韓国は核兵器製造の潜在能力も高い。核兵器の材料となるプルトニウムの抽出能力も保有している。
『ニューヨーク・タイムズ』紙が昨年10月28日、米国科学者連盟の報告書を引用して、韓国の核兵器製造能力を分析した結果、 韓国が保有している24基の原子炉から出る再処理物質でプルトニウムを抽出すれば核爆弾4300 発以上を製造することができると報じた。
同紙はまた、韓国が1970~80年代に2度にわたって秘密裏に核兵器開発を試み、2004年には韓国科学者が国際原子力機関 (IAEA)に報告せず核物質を再処理して濃縮したことがあるとも報じた。(『中央日報』2017年10月30日)。
また、韓国は、加圧水型原子炉を主に計24基以上、17.5ギガワットの発電容量を有する原発大国でもあり、核弾頭製造の潜在能力も高い。