「公園デビュー」の乗り切り方は、ビジネスにも通じるところがある。

 本来は微生物の研究者なのに、ビジネス書を書いたと思ったら最近になって子育て本を書くという、非常に変わったキャリアを積みつつある私だが、微生物も子どももビジネスパートナーも、共通点が多くて面白いと思っている。

 今回の記事では、近著『子どもの地頭とやる気が育つおもしろい方法』には収録しなかった、ビジネスにも通じるある「テクニック」を紹介したい。

「公園デビュー」という深刻な問題

「公園デビュー」という言葉をご存じだろうか。新米ママが、子ども連れで初めて近隣の公園に遊びに行く、一大イベントだ。うまくママたちの輪に入れないと浮いてしまい、その後ずっと親子二人っきりで誰とも会話せずに遊ぶはめになりかねないので、とても緊張するのだという。

 そんな心理状態になってしまうのも無理からぬところがある。なにしろ、新生児の間は3時間おきの授乳をせねばならず、不眠でフラフラ。首がすわるまでは、抱き上げるにもそっと気をつけてやらねばならず、肌がまだ弱いから、長時間直射日光にも当てるわけにもいかない。というわけで、お母さんたちは首が据わるまでの3カ月間程度は、家の中にずっと閉じ籠りっきりの生活を続けている。

 もし見知らぬ土地に引っ越してきて、誰も知り合いがいない核家族の場合、新生児と二人っきりで家にこもることになりやすいので、誰とも話さないで1日が終わる。もし夫が仕事に忙しく、朝早く出て夜遅く帰宅する生活なら、夫婦で会話することもままならない。事実、私の知っている新米ママの例だと、1カ月間誰とも話さないでいたら、声が出なくなってしまったという。その孤独感は大変なものだ。