私も嫁さんにならって「実験」してみた。息子に語りかける形で公園で遊ぶ子どもたちの様子を実況中継。「あのお兄ちゃん、高いところ上るなあ」「あのお姉ちゃん、雲梯(うんてい)上手だねえ」と。すると、やはり子どもたちはハッスルして、息子に「あそぼ!」と言ってくれたりした。

「感心」が他人との距離を縮める

 この「公園デビュー」のテクニック(?)は、ビジネスの場面でも使える。見たままを口にし、賛嘆するだけで、感心された側は悪い気はしない。親しみを持ってくれる。すると気にかけてくれるし、向こうから話しかけてもくれる。

 無理に相手に話しかける必要はない。「はあ、なるほど、そういうやり方もあるのか、なるほどなあ」と、別に聞かせようとも思わずに勝手に感心していたら、感心されている側は、もっといいところを見せたくなるし、自分のいいところを「発見」してくれた人には好感を持つものだ。あとは自然と、親しくなることができる。

 初対面の人と仲良くなるのが苦手だ、という人は多い。私もその一人だ。しかし仕事は、初対面の人だらけ。どうやって関係を構築すればよいのか、悩む人も多いだろう。それはこれから就職しようという新人だけでなく、部下を指導することになった人にも不安な気持ちがあるに違いない。

 そういう人は、この「公園デビュー」の手法を試してみるとよい。自分の身の回りの人を観察し、見たままを口にして賛嘆する。聞こえても構わないが、聞かせようとするわけでもなく、少し大きな独り言ふうに。それだけで人との距離はグッと近づける。

 人と親しくなりたいのに、どうしたらいいのか分からない人は、試してみるとよい。もちろん、見知らぬ土地に住むようになり、地域に知り合いのない中で育児をすることになった人も、この方法を試してみるとよい。地域の耳寄り情報を仕入れるのも容易になるだろう。ビジネスのネタを仕入れるにも、有効な方法だ。