文中敬称略

シリア和平会議、ロなど関係3か国が開催で合意 アサド政権も歓迎

ロシア南部ソチで、シリア内戦をめぐる3者会談の後、記者会見する(左から)イランのハッサン・ロウハニ、ロシアのウラジーミル・プーチン、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン各大統領(2017年11月22日撮影)。(c)AFP/SPUTNIK/Mikhail KLIMENTYEV〔AFPBB News

 今年も余すところ20日余になった。この1年のロシアの動きを振り返えってみる時期ではある。だが、外交・内政ともに年初からの記憶に残りそうな変化は、少なくとも表面的には、なかったようだ。

 やや気抜けしてしまう感なきにしもあらずで、それというのも、今年の世界の主役が、やはり何と言っても米国の大統領、ドナルド・トランプだからなのだろう。

 良くも悪くも皆が彼に注目し、そして振り回された。その対外関係のみならず、彼の大統領就任に象徴される米国社会の変容が先進国共通の問題として受け止められ、ポピュリズムとナショナリズムという民主主義政治の宿啊にまで議論は果てしなく、である。

米ロの改善関係が進まない理由

 その中で、ロシアも対米関係改善への期待を裏切られた、との見方が多い。

 だが、庶民はともかく、ロシアの為政者レベルまでが未知数のトランプに淡い期待を初めから抱いていたとは思えない。そして、米国内の今のゴタゴタの方が、より中長期的な対米関係での不安要因だと彼らには映っている。

 ベトナム戦争時にも似た国内の「分断」現象や、混迷を深める米議会の動きは、総じて南北戦争この方最大の社会変動であり、少なくとも全治10年の病だ、とロシアの識者たちは見ている

 トランプにせよ、国務長官となったレックス・ティラーソンにせよ、対ロ関係改善の気持ちがあっても、仮想敵を求めるのが性(さが)の軍人が管理する政府の下ではそれもままならない。

 その政府に民主党政権時代の政策を踏襲しようとする国務省スタッフや、外野席からは反ロ一色に染まった主要メディアや議会が関わるのだから、関係改善は当分あり得まい。

 一方でロシアを小馬鹿にしながら、他方ではその脅威を本気で喧伝しまくる米国の姿勢には、余裕を失った超大国の像を見せつけられる。

 それは「敵を知る」を怠ってきたツケでもあるし、世界的に広まる「異論には耳を傾けず、事実でないことを事実であると強弁、自分と同じ考えの人間とだけつながって安心感を得る」(参考=http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/283738/101900045/?ST=editor)という傾向そのものでもある。