それでも、米国の極東での軍事力拡大を押し止めることが最重要課題となれば、そうさせてしまいかねないドンパチはともかく止めろ、と声を張り上げるしかなくなる。

 張り上げても、その意図が反米にあることを米国は百も承知だから、その声に従うはずもない。そして、ある日気がついたら半島分割での米中密約が成り立っていた、などといったとんでもない状況を作らせないための策も講じねばならなくなる。

 シリアと北朝鮮のいずれの問題もこれまでのところでは、最終勝利をロシアがものにしたという画にはなっていないようだ。大統領のヴラジーミル・プーチンが西側の有力誌で「Man of the Year」に選ばれるための材料にはどうもなりそうにない。

4期目の大統領選立候補、いまだ表明せず

 そのプーチンは、まだ来年3月の大統領選への立候補を表明していない(注:12月6日に出馬表明)。投票率70%で集票率70%なら、全有権者の支持の49%となり、これを何としても50%超とすることが立候補での大前提となっているとか言われる。

 その見込みが立たないなら、立候補を取り止めることもあるのか?

 さすがにそのサプライズはないだろう。だが、「次の6年も俺がロシアを引っ張る」とまだ言い出さないとは、4期目を務めるにしても、どのような政府と政策を形成するのかの判断を妨げるような何らかの要素があるのかもしれない。

 欧米との関係が冷めたものになった直接の原因はウクライナ問題でも、その遠因はプーチンがいったん退いた大統領の職に2012年に戻ったことにある。

 プーチンの存在そのものが対立の原因でもあり、そうなると彼が4期目の政府の陣容を選んでも、その治世の間に欧米の側からロシアに歩み寄る、といった形はいささか想像しにくいものになる。

 さらに大きな4期目の懸念材料は、プーチンの健康と、彼の西側への忍耐力が切れる可能性だろう。

 ロシア人が理解されずにいたぶりの対象になれば、どこかで激しく爆発する。そのことを知っているから、プーチンは並のロシア人以上の忍耐力で自重―― 少なくとも主観的には――している。