「お父さんの章一郎さん(豊田章一郎名誉会長)が社長を引かれてから章男さん(豊田章男社長)まで、何代かサラリーマン社長の時代が続きました」

 「みなさん必死で頑張られ素晴らしい業績を残されたと思います。しかし、自分の代に良い成績を上げようと必死になればなるほど経営は近視眼的になりやすい」

 「立派な業績には感謝・尊敬しつつ、章男さんには何か歯痒いものがあったのかもしれません。ご自身の考えている経営とは少し離れてしまうような・・・。そこで私のところにご連絡があったのだと思います」

トヨタの関連会社トップも次々訪問

 トヨタの豊田章男社長はこれまでに決して便利とは言えない場所にある伊那食品工業を何度も訪れている。そればかりではない。

 「デンソーさん、トヨタ車体さん、アイシン精機さん・・・。トヨタさんの主な部品メーカーのトップの方々に次々と訪問していただいています」。塚越寛会長の長男である塚越英弘副社長はこう話す。

 世界のトヨタは伊那食品工業から何を学ぼうとしているのだろうか。

(つづく)