在外邦人等の保護における日米の共同対処

 「日米防衛協力のための指針」(ガイドライン、2015年4月)は、「非戦闘員を退避させるための活動(NEO)」の項を設け、日米両政府は、日本国民または米国国民である非戦闘員の退避を計画するに当たり調整し、当該非戦闘員の退避の実施に当たってお互いに協力すると定めている。

 そして、退避活動は、輸送手段、施設などの日米の能力を相互補完するとし、退避者の安全、輸送手段および施設、通関、出入国管理および検疫、安全な地域、衛生等の分野において協力を実施するため、適時に、「同盟調整メカニズム」を設定し、それを通じ初期段階からの調整を行う。

 また、日米両政府は、第三国の非戦闘員に対して退避に係る援助を行うことを検討するとともに、適宜の訓練・演習を実施するなど、非戦闘員を退避させるための活動における調整を平時から強化するとしている。

 そのため、米国は、有事の際に韓国から退避させなければならない米国と友好国の市民を22万人と想定し、日本に退避させる訓練を定期的に実施しており、昨年11月と今年6月には米軍人家族を実際に退避させる訓練を実施した。

 今後は、そのノウハウを日米で共有し、両国が協力するNEOについて、すみやかに計画し、実際的訓練を実施して行くことが求められる。

 また、ガイドラインは「避難民への対応のための措置」についても触れている。

 日米両政府は、日本への避難民の流入が発生する恐れがある、または実際に始まるような状況に至る場合には、国際法上の関係する義務に従った人道的な方法で避難民を扱いつつ、日本の平和および安全を維持するために協力する。

 当該避難民への対応については、日本が主体的に実施し、米国は日本からの要請に基づき、適切な支援を行うと定めている。

 このように、朝鮮半島有事においては、避難民(あるいは避難民を装った武装ゲリラ)が発生し日本に流入する可能性がある。

 2017年4月の衆院安全保障委員会で、岸田文雄外相(当時)は、避難民発生時には上陸手続きに関する施設や収容所を設置すると述べ、「武装している者が入国しないよう、身体所持品の検査の実施など必要な措置をとる」と答弁しており、これもまた、日米共通の課題として具体的な検討を急がなければならない。