自衛隊による在外邦人等の保護

 防衛白書によると、自衛隊は平素から在外邦人等の保護のため、内閣官房や外務省などと調整しつつ、統合運用態勢を整え、各種の訓練を積み重ねている。

 従来からある在外邦人等の「輸送」について、自衛隊は、派遣先国において輸送の対象となる在外邦人等を、車両・艦艇・航空機により本邦などの安全な地域に輸送する。

 このため、陸上自衛隊ではヘリコプター隊と誘導輸送隊の要員を、海上自衛隊では輸送艦などの艦艇(搭載航空機を含む)を、航空自衛隊では輸送機部隊と派遣要員をそれぞれ指定するなど、待機態勢を維持している。

 在外邦人等の輸送は、陸・海・空自衛隊の緊密な連携が必要となることから、平素から統合訓練などを行っている。

 また、毎年タイで行われている多国間共同訓練(コブラ・ゴールド)においては、2015年2月に、在外邦人等の輸送訓練で、外務本省や在タイ日本国大使館などの協力を得て、同大使館職員、その家族らとともに参加し、初めての海外における陸上輸送訓練を実施した。

 2016年2月には、初めて護衛艦(艦載航空機1機含む)を同訓練に参加させるとともに、車両による陸上輸送の訓練に自衛隊の車両(高機動車1両)を持ち込んで使用した。

 実際には、2016年7月のバングラデシュにおけるダッカ襲撃テロ事件において、被害邦人等の輸送のため、自衛隊法第84条の4(在外邦人等の輸送)に基づき、空自特別航空輸送隊(千歳基地所属)の政府専用機をバングラデシュ・ダッカに派遣し、被害邦人の御遺体(7人)と御家族を本邦に輸送した。

 また、同年7月の南スーダンにおける情勢の悪化に際しては、空自輸送機(C-130H)を派遣し、大使館職員をジュバからジブチまで輸送した。

 今般、朝鮮半島危機の急激な高まりによって、在韓邦人等の大規模な避難を余儀なくされそうな情勢である。

 その際には、内閣府、外務省(在韓日本国大使館・総領事館)、防衛省、海上保安庁、在韓日本人会、日本貿易振興会(JETRO)、民間航空・海運各社、旅行代理店などの緊密な協力連携と組織立った行動が不可欠である。