そもそも、この6人も僕同様に素人なので、ツテやルートがあるわけではないし、普段は自分の仕事があるので、全ての時間を使って我々の商品を一生懸命に売ってくれるというわけではない。

 自分が出資している会社でもないので、売れなかったとしても彼らに被害は無いし、打ち合わせとその直後は盛り上がっていても、時間が経つとそうした熱も急に冷めてしまって、アクセサリーを売るなんていう面倒くさいことは脇にどけてしまうのが普通だ。

 結局、このことがあってから、どんなビジネスや商売をやるにしても、僕は基本的に「売れた分だけ、あなたにも取り分がありますよ」というインセンティブだけで参加者を募ることには懐疑的になった。「売れた分だけ取り分がある」というのは、逆を言えば「売れなければ取り分はない」ということだから、それはモチベーションにはなり得ないのだと思う。

 これは日本だろうが中国だろうが同じことであって、その後、中国で商売をしていく中で同じような仕組みを試したことがあったが、ことごとく失敗している。

 商売を始めたころは資金も無いしツテやルートもないので、一見合理的でリスクも無いように見えるこの「売れた分だけ取り分がある」という方法を使いたくなるものだが、実はスタートした直後の会社だとこのやり方はほぼ100%失敗する。

 よっぽど商品が魅力的なら別だが、人を頼ってものを売る(代理者を使う)ことができるようになるのは、実は商品が売れ始めてからなのだということに、僕はそのとき遅まきながら気づいた。

 やはり、自分の会社の商品やサービスを売ろうと思ったら、最初はその会社に命をかけている人(具体的にはお金をつぎ込んでいる人)でないとうまく行くはずがないのだ。