さらに、「福島はチェルノブイリとは違う」と言いたい重要な理由があった。

(1)事故当時5歳以下の子供からの発見がないこと

 チェルノブイリ原発事故ではI-131(ヨウ素131)が出たため、子供の甲状腺がんが6000人を超え、5歳以下の小さい子供が多数がんになった。福島では5歳以下のがんの発見がなく、これが、福島の原発事故の大きな影響はないとする要因だった。

 放射性ヨウ素の影響は、小さい子供ほど受けやすいはずと考えられているからだ。

 福島の事故当時4歳だった甲状腺がんの子供は、県内の他の専門病院でフォローされていたのかとぼくは勝手に憶測していたが、実際には検査も手術も福島県立医大で行われていた。

 検討委員会の中心的役割を担う病院である。

 この症例に関しては、単に報告が遅れたという不注意ミスではなく、「不都合な真実」だった可能性がある。

 しかもこのほかに、甲状腺がんの確定診断が下されている5人の子供が、甲状腺がん152人の中に入っていない可能性があるという。事故当時4歳の子供ががんになっているのは重要なファクトだ。

チェルノブイリとは違うとは言い切れない

(2)がんの発見が、チェルノブイリでは被曝から4~5年後に増えているのに対し、福島では4年経過する前から見つかり出しているということ

汚染地域での健康診断

 チェルノブイリでは事故後4~5年後から甲状腺がんが多くなったというのは事実だ。

 原発事故が起きてから4年半ほどした1991年1月、ぼくはウクライナ共和国やベラルーシ共和国の汚染地域を回った。

 その頃はまだ、「放射線ノイローゼ」などとWHO(世界保健機関)にも言われていた。

 しかし、小さな村で甲状腺がんの子供が2人も見つかっていることを知り、とんでもないことが起きているのではないかと考え始めた。