第2に注目すべきなのは、「トライ&エラー」、つまり失敗することを前提としている点である。

 本演習で海兵隊は海軍および海兵隊内部等から100以上もの技術提案を採用した。50を今回の演習で実証実験し、残りの50は高官への展示のみを行うという。演習を取り仕切る担当者は「実験を行う50の技術は、おそらく早期に、かつ頻繁に失敗するだろう。だが、失敗はイノベーションの母である。もしも失敗しなければ、それは我々がきちんと仕事をしなかったということだ。この演習は、海兵隊が大規模な調達計画を決定する前の『失敗する時間』なのだ」と述べている。

 第3に注目すべきなのは、現在の戦略環境下で、いかに水陸両用作戦を成功させるかを課題にしている点だ。

 現在、中国、ロシア、イランがミサイル戦力を中核とするA2/AD戦力を獲得している。その状況下で、脆弱極まりない海兵隊の戦力をいかに展開させるか、という課題である。

 海兵隊の水陸両用作戦能力の脆弱さは、海兵隊が主力装備としているAAV7水陸両用車を見れば一目瞭然である。AAV7水陸両用車は、小銃弾しか跳ね返せず、対戦車ロケットでたやすく撃破される。しかも、水上では穏やかな時ですら時速13キロメートルときわめて鈍足で、波が高くなればより遅くなる。要するに「動く棺桶」でしかないのだ(このAAV7を、陸自は1両6億円以上で調達しようとしている)。

 他方、中国などは、今や目標を発見するためのセンサーとネットワークを保持し数百マイルの射程を持つ精密誘導巡航ミサイル、航空攻撃、潜水艦、無人機などを膨大に装備し、それらを一元的に運用するA2/AD戦力を備えている。これらに「動く棺桶」をそのまま突っ込ませれば、どうなるかは火を見るよりも明らかである。

 本演習の担当者もその状況を十分に承知しており、「かつては米国だけが精密誘導兵器を持ち、無人機を持っていた。制空権も制海権も当然だった。しかし今となっては、強襲揚陸能力を技術革新によって維持しなければならない」と述べている。要するに、中国やテロ組織の技術革新には米国の技術革新で立ち向かうというわけだ。